新潟県在宅医療推進フォーラム(2024.9.29開催)のアーカイブ配信が開始されました。
新潟県医師会在宅医療推進センターホームページ
http://www.niigata.med.or.jp/zaitaku/
関の基調講演が19:18より視聴できます。
「地域共生社会の実現に向けた医療介護連携とは」
講師 北見市医療・介護連携支援センター(北星記念病院)センター長/関 建久
座長 新潟県医療ソーシャルワーカー協会 会長/坂詰 明広
お招き頂きました皆様に感謝申し上げます。
北見市医療・介護連携支援センター長のブログ
新潟県在宅医療推進フォーラム(2024.9.29開催)のアーカイブ配信が開始されました。
新潟県医師会在宅医療推進センターホームページ
http://www.niigata.med.or.jp/zaitaku/
関の基調講演が19:18より視聴できます。
「地域共生社会の実現に向けた医療介護連携とは」
講師 北見市医療・介護連携支援センター(北星記念病院)センター長/関 建久
座長 新潟県医療ソーシャルワーカー協会 会長/坂詰 明広
お招き頂きました皆様に感謝申し上げます。
北見市医療・介護連携支援センターから、在宅医療・救急医療セミナーとケアマネジャーを対象としたACP研修会のお知らせのご案内です。
第2回在宅医療・救急医療セミナーのお知らせ
日時:令和6年11月22日(金)18:30~20:00
場所:北見市役所5階 505会議室・入札室
ご案内はこちら
https://www.nouge.gr.jp/center/info/20241122.pdf
お申込みはこちら
https://forms.gle/iFVzQDGz1AtJqzGo7
(締め切り11/18まで)
ご案内はこちら
https://www.nouge.gr.jp/center/info/20241213.pdf
お申込みはこちら
https://forms.gle/pKXJ7x8xZ56ejVmz7
(締め切り12/6まで)
令和6年4月に投稿予定でしたが、下書きのまま放置されていたことに気づきました。年度の折り返しを過ぎてしまいましたが、投稿いたします。
2014年に介護保険法が改正され、翌2015年度から市町村が行う事業として、地域支援事業に在宅医療・介護連携推進事業が位置づけられました。その後、2019年度から北見市では本事業を医療法人社団高翔会北星記念病院へ「北見市医療・介護連携支援センター事業」が委託され実施してきました。
過去5年間の事業を振り返り、今後北見市における人口減少、特に医師・看護師等の減少による医療資源の縮小と介護支援専門員・介護職員等の減少を踏まえ、5年後の2029年以降を見据えた北見市における地域包括ケアシステム全体の構築状況を、在宅医療・介護連携推進事業の立場から到達点を示すとともに、毎年度の事業の進捗や評価とその達成状況を明らかにする必要があると考えました。
そこで2024年度からは本事業の目的である「切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築」の構成要素である「日常の療養支援」「入退院支援」「急変時の対応」「看取り」の4つの場面を事業の機能性の視点から組み直し、「多職種連携・リハビリテーション」、「入退院支援・急変時の対応」、「看取り・日常の療養支援」の3つに統合・再編します。さらに5年後の2029年に北見市が目標とすべき状態の実現に資するよう事業が機能しているかどうかを毎年点検できるようにします。よって毎年の点検の結果、成果が出ていない、成果に貢献しない計画は見直しを行い、同じ成果を挙げることを目的とした別の計画を再検討し、効率性の高い取り組みへ重点化します。また事業の点検にあたっては、株式会社日本総合研究所が開発した「地域包括ケアシステムの構築状況の点検ツール」を用いて実施します。
視点 | 視点の目的 | 目的達成の概要 |
多職種連携・リハビリテーション | 高齢者がリハビリテーション等を活用しながら出来る限り心身機能や生活行為の回復と維持を図っている。 | 多職種が連携した効果的な介護予防やリハビリテーションを活用することで、高齢期のフレイルの進行を抑えたり、入退院があっても継続して状態を維持したり悪化を予防したりします。地域ならではの暮らし方や資源の状況を踏まえた介護予防やリハビリテーションを利用しやすくします。 |
入退院支援・急変時の対応 | 高齢者が、急変時を含め、入退院があっても切れ目のないケアを利用でき、生活を継続している。 | 高齢期は日常生活で医療・介護を必要とし、あるいは状態が急変して入退院が必要になります。日常の療養をはじめ、急変時の対応と入退院時にも、情報共有や計画作成が円滑に行われるようにします。 |
看取り・日常の療養支援 | 本人の希望に応じた日常療養から看取りまでの体制を整え、提供できている。 | 人生の最終段階において望む場所で看取りが行えるように、日常の療養支援の段階から連続的に医療と介護が密に連携して支援する必要があります。医療と介護関係者で本人の意思を共有し、状況が刻々と変わる中でも円滑な連携が行われるようにします。 |
Plan(計画) | 地域の目指すべき姿 | 高齢者がリハビリテーション等を活用しながら出来る限り心身機能や生活行為の回復と維持を図っている。医療・介護関係者の多職種連携により、高齢期のフレイルの進行を抑えた介護予防や、入退院があっても継続して状態を維持し、悪化が予防されている。高齢者が自身の状態に合った形で、機能回復やセルフケアに取り組んでおり、役割や生きがいを持ちながら暮らしている。 |
現状分析と課題抽出 | 要介護認定を更新した方のうち、要支援者の約54%が以前の認定結果から悪化している。(令和4年度調査より)介護支援専門員がケアプラン立案の際に利用者の予後予測について医療専門職の助言を受ける仕組みがなく、利用者の身体機能が低下している場合がある。適切なケアマネジメント手法を理解している介護支援専門員や医療専門職が少なく、介護サービス利用者の疾病の悪化や介護の重度化が起きている場合がある。多職種間の情報共有システムである北まるnetが一部の機関・事業所でしか利用されておらず、患者・利用者の情報共有が不足している。医療機関、居宅介護支援事業所、高齢者施設や介護保険事業所で口腔・栄養・運動の一体的な取り組みや情報の連携が不足しており、介護サービス利用者の疾病の悪化や介護の重度化が起きている場合がある。 | |
2029年度の到達目標 (下線部は要協議) | 要介護認定を更新した方のうち、要支援者の5割が以前の認定結果から改善または維持している。適切なケアマネジメント手法を用いてケアプランを立案する介護支援専門員が7割となっている。多職種間の情報共有システムである北まるnet(グループセッション)を活用する有床医療機関および居宅介護支援事業所の割合が7割となっている。口腔・栄養・運動に関する相談・助言の窓口が職能団体で開設され、ケアマネジャー等からの相談に対する助言を受けている。(訪問看護、リハビリテーション団体3つ、栄養士会、歯科医師会は開設済。) |
Do(実行) | 2024年度の活動 | 北見市が主催する「自立支援型地域ケア個別会議」にて、適切なケアマネジメント手法を活用した個別事例検討会の事例集の作成ならびに運営に協力する。医療機関と介護事業所等が住み慣れた地域で暮し続けられ」という目標を共有することを目的に、「第3回北見市医療と介護の実践報告会」を開催する。要介護者の重度化予防のため、通所サービス事業所の組織化と医療職の活用支援を目的として、通所サービス意見交換会及び通所サービス事業所訪問会を開催する。適切なケアマネジメント手法を活用した多職種連携の基盤整備を目的として、北海道理学療法士会道東支部、北見市地域包括支援センター連絡協議会および北見地域介護支援専門員連絡協議会と協働して「適切なケアマネジメント手法を活用したケアプラン支援事業」を実施する。(2024年度の新規事業)ケアマネジメントにおける多職種連携推進の効率化を目的に、北まるnetグループセッションの活用例をケアマネジャーや医療機関へ周知する。 |
Check(評価) | 到達目標に対する進捗 | 要支援者(要支援1,2)および要介護者(1,2)の要介護認定更新結果の悪化率が令和4年度調査に比べ10%低減している。適切なケアマネジメント手法を用いてケアプランを立案する介護支援専門員の割合が約50%になっている。(令和5年度は25%)北まるnet(グループセッション)を活用する有床医療機関および居宅介護支援事業所の割合が80%になっている。(令和5年度は62%)職能団体で開設する口腔・栄養・運動に関する相談・助言の窓口の増加。自立支援型地域ケア個別会議での事例検討の件数と課題の抽出状況。 |
Action(改善) | 改善の実施(評価の視点) | 地域の高齢者のフレイル等のリスクの状況を踏まえ、効果的なリハビリテーションや介護予防がケアプランを通じて実施できているか。地域住民の人口構成や、要介護状態となる要因の傾向、社会資源の状況を踏まえ、必要なリハビリテーションや介護予防サービスが機能しているか。関連する施策・事業同士と連携できているか。 |
Plan(計画) | 地域の目指すべき姿 | 高齢者が急変時を含め、入退院があっても切れ目のないケアを利用でき、生活を継続している。高齢者が急変時を含め、入退院があっても継続して状態を維持し、悪化が予防されている。退院後に、円滑な療養・介護へと接続できる環境が整っている。 |
現状分析と課題抽出 | 要介護者の入退院連絡率は85%以上を維持しているが、医療機関からケアマネジャーに対する退院前連絡が退院日直前になっており、退院後の介護サービス調整が間に合わない場合がある。北まるnet救急医療情報へ登録している高齢者は全体の約10%に留まり、急変時にかかりつけ医、既往歴や投薬内容が分からず、救急医療機関で治療の開始が遅延している場合がある。要介護者の退院時療養指導と本人の暮らしに対する意向の両者を踏まえたケアプラン立案が難しく、疾病の再発や悪化を招いている場合がある。訪問介護サービス資源や介護支援専門員が不足しており、要介護者のケアプラン立案や生活支援サービスが不足し、介護の重度化を招いている場合がある。在宅や施設で暮らす住民が急変時に本人の望む医療・ケアの意思決定をしておらず、搬送先の救急医療機関で救命か延命かの処置に家族が苦慮している場合がある。急変時に本人の望む医療・ケアの意思決定をしておらず、本人の意思が実現できていない場合がある。 | |
2029年度の到達目標 | 医療機関からケアマネジャーに対する退院前連絡が5日以上前にあり、退院後のスムーズな介護サービス利用につながっている。北まるnet救急医療情報へ登録する利用者が北見市内高齢者の30%になる。特に単身世帯や高齢者夫婦世帯の70%以上が北まるnet救急医療情報に登録しており、救急車要請時に救急隊へ活用され、搬送時間の短縮につながっている。ケアマネジャーが立案するケアプランに利用者本人の暮らしに対する意向が記述されており、入院時からの退院支援に活用され、入院期間の短縮につながっている。生活支援体制整備事業の推進により、北見市内の多くで住民主体による体操教室や生活支援サービスが実施されており、軽度者は住民が、要介護の重度者のケアは介護職員へと役割分担が進み、退院支援の際に介護職員等が不足していてもケアマネジャーが住民主体のインフォーマルサービスを活用できている。急変時に本人の望む医療・ケアの意思決定ができており、情報共有の仕組みができている。急変時に本人の意思を実現できるよう、救急隊、医療機関、ケアマネジャー等の協力により、搬送ルールや医療機関での対応に一定の取り決めをまとめた「北見市版DNARプロトコール」が策定され、実施できている。 | |
Do(実行) | 2024年度の活動 | 入退院における医療機関とケアマネジャーとの連携についての現状と課題を把握するため、ケアマネジャーと有床医療機関を対象に入退院連絡調査を行う。調査結果は北見市が開催する「北見市医療機関・在宅ケアマネジャー連絡会議」にて報告するとともに、課題について協議する。医療・介護連携窓口の把握と周知を行う。入退院等調整のための窓口一覧を北見保健所・保健所管内町と共同し更新するとともに、令和6年10月に配布する。平時の連携のための窓口一覧を北見保健所・保健所管内町と共同し更新するとともに、令和6年10月に配布する。対象は医療機関、歯科医院、 薬局、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、 小規模多機能型居宅介護とする。在宅医療・救急医療ワーキングチーム会議を開催し、以下の取り組みを実施する。患者、利用者や入所者に対するACPの推進在宅ケアマネジャー等に対するACPの研修を企画、実施する。地域住民に対しACPの啓発を目的とした市民講座を企画、実施する。施設入所時におけるACPの引継ぎのあり方について検討する。心肺蘇生を希望しない高齢者に対する救急医療についての課題を調査する。救急隊におけるDNAR意思の救急要請事案について調査を行う。救急医療の現場における心肺蘇生を希望しない高齢者に対する診療上の課題について調査を行う。心肺蘇生を希望しない高齢者が救急要請した場合の不搬送ルール(要件やプロトコル等)について検討を行う。高齢者施設に対する救急対応の向上高齢者施設に対する救急対応やACP等の課題についての調査を実施し、短期及び長期の課題抽出と対応策を検討する。多様な種類の高齢者施設の意見を収集、反映させるため、本会議メンバーにサービス付き高齢者向け住宅等の高齢者施設代表を加えることを検討する。 |
Check(評価) | 到達目標に対する進捗 | 医療機関からケアマネジャーに対する退院前連絡が5日以上前の割合。北まるnet救急医療情報へ登録する利用者割合。高齢者単身世帯および高齢者夫婦世帯の登録割合。ケアプランに利用者本人の暮らしに対する意向が記述されている割合。 |
Action(改善) | 改善の実施(評価の視点) | 令和6年度の取り組み状況を踏まえ検討を行う。 |
Plan(計画) | 地域の目指すべき姿 | 本人が望む医療・ケアの意思を表明している。本人の希望に応じた看取りの体制が整い、その意思が実現できている。通院が困難になった際も訪問診療や訪問看護サービスを受け、住み慣れた場所で生活できている。心身機能が低下してもケアマネジャーや生活支援サービスが整い、住み慣れた場所で生活できている。 |
現状分析と課題抽出 | 死期が迫っていない利用者に対しACPを提案しているケアマネジャーは8.7%である一方で、状況に応じACPを提案しているケアマネジャーは66%であった。高齢者施設で入所者の急変時に備え事前指示書を作成していないと回答した施設が61%であり、急変時の本人・家族の意思が反映、実現できていない場合がある。救急医療機関では本人の意思が確認できない場合、代理意思決定者(家族など)がいない場合や、その場にいても判断がすぐにできないことがある。自宅や施設で看取りを行う方針だったが家族や職員が慌てて救急搬送を要請した場合、救急隊の不搬送のルールがなく、搬送せざるを得ない状況がある。人生の最終段階における医療・ケアに対する住民の関心が低く、急変時に納得した意思決定ができていない。訪問診療を実施できる医療機関が限られており、訪問診療を希望しても受けられない場合がある。心身機能が低下した場合、家庭の介護力が不足して施設等へ入所している住民がいる。 | |
2029年度の到達目標 | 北まるnet救急医療情報へ住民のACPやDNARを登録する利用者が北見市内高齢者の30%になる。特に単身世帯や高齢者夫婦世帯の70%以上が登録しており、救急車要請時に救急隊へ活用され、本人の医療・ケアに対する意思の実現につながっている。急変時に要介護者の望む医療・ケアの意思決定が平時からケアマネジャーとともに70%以上できており、かつその情報共有の仕組みができている。急変時に本人の意思を実現できるよう、救急隊、医療機関、ケアマネジャー等の協力により、搬送ルールや医療機関での対応に一定の取り決めをまとめた「北見市版DNARプロトコール」が策定され、実施できている。訪問診療を希望する住民が訪問診療を受けられる体制が整っている。心身機能が低下しても住民主体の生活支援サービス等が整い、住み慣れた場所で生活できている。 | |
Do(実行) | 2024年度の活動 | 在宅医療・救急医療ワーキングチーム会議を開催し、以下の取り組みを実施する。(再掲)患者、利用者や入所者に対するACPの推進在宅ケアマネジャー等に対するACPの研修を企画、実施する。地域住民に対しACPの啓発を目的とした市民講座を企画、実施する。施設入所時におけるACPの引継ぎのあり方について検討する。心肺蘇生を希望しない高齢者に対する救急医療についての課題を調査する。救急隊におけるDNAR意思の救急要請事案について調査を行う。救急医療の現場における心肺蘇生を希望しない高齢者に対する診療上の課題について調査を行う。心肺蘇生を希望しない高齢者が救急要請した場合の不搬送ルール(要件やプロトコル等)について検討を行う。高齢者施設に対する救急対応の向上高齢者施設に対する救急対応やACP等の課題についての調査を実施し、短期及び長期の課題抽出と対応策を検討する。多様な種類の高齢者施設の意見を収集、反映させるため、本会議メンバーにサービス付き高齢者向け住宅等の高齢者施設代表を加えることを検討する。北見市医療・介護連携推進事業に係る普及啓発委託事業(住民主体のまちづくり)の開催に協力する。本人の望むこれからの暮らしや緊急時の意向が反映されるよう、ケアマネジャーをはじめとした意思決定支援に関する研修会を開催する。生活支援体制整備事業における住民主体の体操教室や生活支援サービスの推進に協力する。 |
Check(評価) | 到達目標に対する進捗 | 在宅看取り割合(自宅死、老人ホーム死)。→令和4年度までしか確認できないので判定は令和7年度となる。看取りを実施する体制(医療機関、介護事業者数)。ACP 等意思決定支援の医療機関や介護保険施設での実施状況。終末期救急搬送件数とDNARの実施数(割合) 。 |
Action(改善) | 改善の実施 | 令和6年度の取り組み状況を踏まえ検討を行う。 |
「連携当事者は連携調整者になれない」という話をする。
連携を行う者には、連携当事者と連携調整者の二者が存在する。
住民が地域で安心して暮らす目的のため、医療提供体制や介護事業所が抱える課題解決の活動は「在宅医療介護連携推進事業」と呼ばれ、全国の各地域で精力的な活動が行われている。よくある取り組みの一つに「地域における入退院時の連携ルール」がある。利用者が医療機関へ入院した際にケアマネジャーが医療機関へ情報提供し、退院前に医療機関がケアマネジャーへ連絡をするルールを地域全体で決めようとする取り組みだ。
皆で課題を話し合い、解決方法を検討して実行する。最初のうちは調子よく物事か運ぶがすぐに限界がくる。連携のためのルールを守らない者(機関)が現れるからだ。地域連携とは「地域で協力し合うために皆で守るルール」のことだ。だからルールを皆がいかに守るかがとても重要となる。しかしルールを守らない者にも言い分がある。「そのルールは使いづらい」とか「従う理由が合意できない」などだ。なので話し合いをするのだが、この話し合いが非常に難しい。すべてのルールが誰にとっても使いやすくて満足するものではないからだ。この辺りからメンバーである連携に直接関わる当事者(病院の連携担当者やケアマネジャーなど)―これを「連携当事者」という―だけでは限界がやってくる。
話し合いの決着点、いわば連携の調整とは、互いの言い分を吐き出させ、相互に相手の言いにくいことを受け入れ、妥協点を見つける作業なのだか、これを当事者同士で実施するのは難しい。そこで、これを調整する「連携調整者」の出番となる。連携調整者とは、中立的で、医療と介護の両者から一定の信頼を得ている者が望ましい。行政がその役割を担うのがふさわしい。
医療機関と在宅ケアマネが公平で平等な立場で「互いのできること、できないこと」が組織同士で話し合われる場があり、そこで地域の連携課題が話し合われ、地域の多くの機関が参加しており、ルールが修正されていく。そういう場を維持するには「連携調整者」の存在が不可欠だということを地域のメンバーの皆が認識することが大切だろう。
2020.5.27
令和2年度の当センターの活動予定の一つに「通院困難患者の調査と課題抽出」がある。
これは在宅医療介護連携推進事業における「医療・介護連携の課題抽出と対応策の検討」にあたる。
疾病を抱えた要介護者の治療継続の一つに通院手段の確保があり、適切な医療を受けるために生活支援たる介護サービスの協力が必要となる。
今年度の具体的な取り組みは、通院困難利用者の実態、訪問診療や通院介助サービス量の需要及び供給量の調査、供給増へ向けた関係者との課題抽出を行う予定だ。
昨年度当センターが居宅介護支援事業所を対象に行った調査では、北見市内で要介護認定を受け訪問診療を受けている利用者は170名いた。また訪問診療が必要となる可能性のある利用者数は220名であった。ちなみにその約半数が「通院介助に身体介護をサービスをつけている」ことであった。なので今年度は通院介助サービス量について詳しい調査と課題を見つけることにした。
訪問診療の対象者を調べる方法として、前述の「通院介助に身体介護をサービスでつけている」や「受診すると(待ち時間などが長くて)2~3日体調が悪くなる」などの該当者を調べると「需要量」が分かる。そうすると訪問診療の現状件数からどのくらい今後の「供給量」を増やせばよいかは引き算できる。例えていうなら今立っている山の位置と、これから登ろうとする山頂との差ということになる。上記の調査結果からは220名の訪問診療の需要があることになる。
理屈は簡単だけれど難しいのが「訪問診療を求める患者数」がイコール「訪問診療をすべき患者数」ではないことだ。
医療と介護の連携の意味の一つは「限られた医療と介護資源が協力し合い地域住民が長く在宅で暮らせるようになる」ことであるから、できるだけ訪問診療を必要しない身体状態が続くことが望ましい。安易に訪問診療を選択できる環境は「限られた医療と介護資源の活用」という視点からは望ましくない場合もある。なぜなら都市部と比べ地方は医師数が少ない。外来診療を訪問診療に切り替えることはその医師の外来診療の時間を削ることになる。在宅医療支援診療所や訪問診療が増えることは望ましいけれど、ただ増やしたとしても地方では医療資源の診療総量が増えない(どころか減少している)ため根本的な解決は難しい。
じゃあどうしたらいいのか。課題の根っこを考えてみた。訪問診療を必要とする患者「像」の関係者間の認識の共有ができていないことではないかと考えた。それは通院診療から訪問診療へ切り替えるべき患者の状態の基準を明らかにすることではなく、通院介助サービス量が不足しているから訪問診療すべきだなど、社会的な理由を訪問診療の理由にすることでもない。
関係者のもつべき認識は基準やコスト評価ではなく「通院困難イコール訪問診療」という呪縛から一旦は離れ、訪問診療以外の通院方法、または通院頻度を下げる方法(オンライン診療)など、なるべく今の生活スタイルを維持するべきだという認識が関係者で一致して個々のケースへ対応していくことのように思えた。
基準やルールづくりなど、地域や医療と介護の連携を推進する事業に取り組む者として耳の痛い結論となった。「急がば回れ」ということか。
2020.6.8投稿
在宅医療介護連携推進事業で示された事業は8つある。その1つに「(オ)在宅医療・介護連携に関する相談支援」があり、全国で在宅医療・介護連携に関する相談窓口が設置されている。これは医療・介護関係者の連携を支援するコーディネーターを配置し、在宅医療・介護連携取組を支援するというものだ。
この取り組みの実施主体は市町村直営、地域包括支援センター(委託法人)などが殆どだが、一部の自治体では社会福祉法人や医療法人が委託されている。相談の対象は医療・介護関係機関のみの場合もあれば地域住民も含め実施するなど対象もバラバラになっている。
委託されたセンターは相談窓口なので「相談を受けると」いうスタンスで取り組む。そればそうだろう。私もこの一年そのように感じ実施してきた。でもここ最近違う思いを持つようになった。それは在宅医療・介護連携に関する「相談を受ける」のではなく「相談(事)を解決する窓口」だということだ。
介護保険制度ができて20年が経過した。ケアマネジャーの数も増え、質も向上した。医療機関への受診の仕方だとか、どの医療機関が訪問診療を実施しているかなどは、ほぼ既知のこととして、居宅介護支援事業所等の事業所内では共有されている。医療・介護連携が進んでいる地域や小規模の自治体などは医療・介護資源に関する不明点は極めて少ない。ゆえにこの「相談窓口」が役割を発揮することは少ない(と思われる)。
相談が少ないとその地域の在宅医療・介護連携に関する問題も少ないかというと、そうでもない。問題はどちらかというと「問題ないと思っていること」自体が問題だということもある。
特別養護老人ホームへ入所していた利用者が肺炎で救急病院へ入院した。経口摂取が出来ないので経管栄養を導入することになった。肺炎の治療は終了したが、経管栄養はその特養では管理できないので特養退所扱いとなり、医療機関は受け入れ可能な転帰先を探す。
昔からそのような取り扱いをしてきた場合、関係者はこのことに課題や問題を感じるだろうか。
「サル化する世界」(文藝春秋)で内田樹氏は現代日本はサル化していることに警鐘を鳴らす。
内田はこう言う。「『サル化』」とは、『朝三暮四』に出て来るサルのように、現在の自分と未来の自分の間に自己同一性を保持できない病態のことです。」
先ほどの特養の例えだと、経口摂取困難で経管栄養になった方が救急病院へ入院し、退院や転院が出来ないでいると病院の病床が一杯となり、いつかは肺炎なった入所者がその救急病院から満床で入院を断られるかもしれない、という過去と未来を含んだ視点で「今」を考察できないということを想像できない状態ということになるだろう。
内田は「サル化した人間の特徴は『過去を反省しない』」『未来に対して見通しを持たない』ことです。」という。
このままこの状態が続いたらもっと大きな問題になる。こういう「未来への見通し」を持ち、今は問題となっていなくても未来に問題となる可能性や危機を感じ「現在の問題ないと思われる出来事」を問題と感じることが求められる。
「相談を受ける」のではなく「相談(事)を解決する窓口」というスタンスでいることが在宅医療・介護連携に関する相談窓口の役割なのだと思う。
最近このblogを閲覧しているとお聞きした方に数人会いました。ところが2024年の春にホームページのサーバーの入れ替えをした際に、以前の投稿がなくなってしまった。改めて古いものになりが、再び投稿することにした。
約16年前、診療報酬で「地域連携パス※(地域連携診療計画管理料)」に大腿部頸部骨折に加え、脳卒中が追加された。
※地域連携パスとは
地域連携パスとは、ある疾患に罹患した患者さんを中心として、地域で医療・介護に関わる人々がそれぞれの役割分担を行い、お互いに情報共有をすることにより、今後の診療の目標や注意点を明確にし、チームで患者さんを支えてゆくための仕組みです。
地域連携パスには2種類あると言われてきました。一つは脳卒中など急性疾患に罹患したとき、まず急性期病院に入院しますが、その後回復期リハビリ病院への転院が必要となったとき、医師・看護師・リハビリスタッフなど多職種の情報や診療計画を転院先にスムーズに引き継ぐという「一方向性連携パス」です。もう一つは糖尿病など、長期にわたり診療してゆくことが必要であるが、普段の診療はかかりつけ医が行ない、必要に応じて専門医の診療を受け、かかりつけ医の支援をするという「循環型連携パス」です。
(国立研究開発法人国立循環器病研究センターHPより)
つまり地域連携とは、自分の病院で治療を完結せず、次の段階でのサポートが得意な病院へ患者を移動させ、一つの病院だけではなく、地域の多くの病院があたかも一つの大きな病院のごとく協力し合う仕組みと考えていいだろう。ところで「地域連携」という語はこの辺りから全国で使用されるようになった。しかしこの仕組みが成立するためには、患者の診療基準と診療計画を標準化し、これを引き継ぐ「ルール」を関係機関が守っていることが大前提である。連携とはこのルールを守ることを言うのであり、最近「あの病院とは連携出来ているから紹介できる」といった「知り合い」や「協力」を指して使用ものではないと言える。
医療介護連携の観点からすると、地域にある多様な医療機関と介護事業所のそれぞれが自分達がケアしたい対象者のみを選び、それ以外は関係ないという態度を決め込むというバラバラの方向性ではなく、地域の多くの対象者が困っている「間(はざま)の課題」に気がつき、この課題の解決という同一の目標へ向かってお互いに協力し合うことが医療介護連携である。よく知った相手だから連携しているのではない。両者の間に地域の課題という共通の目標を認識しているかどうかが「連携しているかどうか」の一丁目一番地だ。
そうすると自らの都合だけで事を進められなくなる。連携を進めることは少しずつ相手や対象者の存在によって私達が今までの取り組みから少しずつ「変わっていこと」が必要になる。
このことについて9年前、札幌市介護支援専門員連絡協議会へ述べたものを発見したので多少古いが掲載しておく。
★★★★★★★★
連携とは「変わる」こと
ケアマネSAPPORO 第89号(2014.8.1発行)へ掲載
【入院日数の短縮と在宅医療の推進】
介護保険制度ができ15年が経った。私が1998年に介護支援専門員試験を受験した当時は「制度あってサービスなし」などと揶揄されたものだ。現在はどうだろう。格段にサービス種類と量が増え、選択肢が増えた。介護支援専門員の皆さんが利用者や家族のニーズを的確に捉え、代弁してきた証だと言える。活動を1999年から開始した貴会の先見性と行動力に感服し、敬意を表する次第である。
2025年問題とは、高齢化率の増加、社会保障財源の確保と介護サービスの質という三つの要素の組み合わせとバランスをどう決着つけるかの問題である。欠かせないのは、要介護者の生活機能の維持を支える医療とのかかわりだ。医療保険制度も大胆な方策が実施されている。介護支援専門員の方と密接に関係するものは2つある。入院日数の短縮と在宅医療の推進だ。
【入院期間短縮に対応した既成概念の打破】
入院日数の短縮化とは「早く治して早く退院する」指向だ。急性期では疾患別のクリティカルパス(治療計画書)に基づき、治療手順は標準化されている。つまり「入院時に退院日が決定する」のだ。在院日数が長期化すると医療機関の収入は減少する。医師の胸三寸で治療計画が決められていた時代は過ぎた。今は「診断と治療計画への適応」に主眼が置かれ、あとは予定した計画に対する「実行(Do)」が病院内で粛々と展開される。
予定通りに治療とその結果が進めば問題はない。しかし相手は高齢者である。入院中に合併症が生じたり、認知機能が低下したりする。高齢者の入院にはリスクが伴う。「早く治して早く退院する」ことを医療機関と介護支援専門員が協力する新しい展開がこれから更に求められる。
当協会(北海道医療ソーシャルワーカー協会)が2012年に介護支援専門員の皆さんを対象とした調査*1 によると、退院前に医療機関から介護支援専門員へ連絡が無かった割合(退院連絡漏れ率)は全道44%に対し、札幌市では38%であった。数値の高低に関する評価は別にして、これをゼロにしていく取り組みが必要だと個人的には考えている。では連絡が漏れている方々はどんな方なのか。私は「要支援」の方だと思っている。つまり「病院は要支援を見つけられない」のではないかということだ。例えば月間1,000名以上の入退院がある大病院では、連携室の看護師やソーシャルワーカーは要支援者を見つけられない。いや「見つけられない」というより「そこまで手が回らない」という言い方が正確な表現だ。絶対的なマンパワーが足りないのだ。ではどうしたらいいか、足寄町の取り組みがヒントになる。
足寄町では、二次・三次救急患者は町から65キロ離れた帯広市内へ搬送される。従来、治療は終了しても医療機関との連絡調整が不十分だった。そのため町内の特養待機者は100名を超えていた。ところが平成20年より、足寄町国保病院の連携室や町内の地域包括支援センターから帯広市内の医療機関へ直接訪問し、医療機関の求めに応じ、早期から相談調整を開始した。その結果急性期病院から自宅への直接退院が増加。特養待機者も減少したというのだ。医療機関から早く連絡を受け、町の地域包括支援センターが出張って退院調整に取り組んだ結果である。連携とは「方法の変更」ではなく「既成概念の打破」である。
医療機関から早くに連絡をもらうにはどうしたらいいか。退院可能な日から逆算して医療機関に出向き、退院調整期間を拡大する仕組みをつくることだ。入院期間の短縮が求められる医療機関に対し、介護支援専門員側から協議を持ちかける絶好の時期が今、到来している。
医療機関側からの連絡を待つ受動姿勢から能動的に医療機関へ入り込んでいく「変化」が求められるだろう。これに関しては貴会と共に、当協会も積極的に医療機関からの早期の連絡、連絡漏れゼロを目指した活動をしたいと考える。
【在宅医療の推進と越境する専門性】
退院調整と並び重要なのが在宅医療の推進だ。こちらは入院治療と異なり、日常的な高齢者特有の疾患に予防的に対応することが求められる。対象疾患は尿路感染症、肺炎や脱水などだ。在宅医療は急性疾患に対する治療より、健康状態を長く続けるための予防的対応に尽きる。よく聞く悩みは訪問診療医がいないとか、在宅を理解してくれる医師が少ないなどだ。しかし在宅医療は医師だけが主だとは思わない。確かに医師は在宅医療の要であるが、何もかにも医師へ相談したら医師の身がもたない。私は訪問看護師と薬剤師の知識と技術を大いに活用すべきだと思う。
私達の地区(北見市)では昨年、介護支援専門員の方を対象に「ケアプランに活かせる使える医療情報講座」*2 を開講した。医師、薬剤師、看護師、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、ソーシャルワーカーらを講師に、医療機関から提供される医療情報を効果的にケアプランへ活用することを目的とした研修会である。特に介護支援専門員の方に好評だったのは「薬に関する相談を調剤薬局へしてもいいことが分かった」であった。剤形の見直しや薬の影響による心身機能の変化を医師に相談する前に調剤薬局の薬剤師に相談できること、相談方法も伝授した。「(薬剤師は)今後相談しやすい社会資源として活用できる」と好評であった。訪問看護師の講義後のアンケートでは「看護師や医療職が見るフィジカルポイント、医療職が知りたい情報、伝える方法のポイントを私達が知ることは有効だ、何を見ればいいか分かった」と好評であった。連携とは「役割の分担」ではなく「越境する専門性」である
【おわりに】
医療と介護の連携が重要と言われる。何故連携が重要と言われるのか。それは人口減少と高齢化が進み、国の財源が不足するなかで、限りある医療介護資源を最大限活用しつくすことが絶対必要だからだ。そのためには今までの方法では通用しないことを自覚すべきだと思う。制度が求めているのは、接点の乏しかった他職種(医療職)と協働した結果、医療介護分野の費用対効果が高まることだ。介護支援専門員がさらに重要な位置づけを獲得するためにはこの医療職との協働への努力が必要だ。どうすればよいのか。まず病院のソーシャルワーカーが地域との窓口となり、介護支援専門員と協力して早期の退院支援を行うことだ。
次に介護支援専門員はケアプラン作成過程で避けていた医療面の問題について「どこから分からないか」を見定めることだと思う。連携とは自分から積極的に「変わる」ことだから。
*1「退院時連絡(医療機関から介護支援専門員へ)調査」第一報 (北海道医療ソーシャルワーカー協会 HP より)
*2「ケアプランに活かせる使える医療情報講座」 (北見市医療福祉情報連携協議会 HP より)
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